MISFコラム『2018年の世界10大リスクの4位にメキシコ』
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『2018年の世界10大リスクの4位にメキシコ』 2018/01/02
米国調査会社ユーラシア・グループが1月2日に発行した2018年の世界10大リスクの4位に「メキシコ」が挙げられた(https://www.eurasiagroup.net/files/upload/Top_Risks_2018_Report.pdf)。
メキシコに進出している、進出を考えている日本企業にとって、NAFTAの再交渉だけではなく、今年7月1日に行われる大統領選挙が市場に多大な影響を与えると指摘している。
現在、国民人気のトップである左派の反米を掲げるロペス・オブラドール(通称AMLO)候補者は、国民の一番の関心事である政治家の腐敗に対しても、憲法で特権が与えられている大統領を含め、公務員の不透明性・犯罪疑惑・横領疑惑・賄賂疑惑・不正行為疑惑・責任追及等からの免除を廃止する具体的な公務員用腐敗対策も既に提示している。
2014年にニュースとなったペニャ大統領の7百万ドル相当の真っ白な大理石をふんだんに使用した白を基調とした自宅、通称『ホワイトハウス』の不正取得疑惑を始め、今年は現市長が5名、前市長が7名逮捕され、70名のその他前市長が調査中となっているメキシコ。その中でも前ベラクルス州知事は、全額8億4千万ドル強相当横領、資金洗浄、犯罪組織との関与の罪に問われている。
ここ数年のAMLOの発言や行動に関して興味深いのは、最初の大統領選挙時から勉強をしているようで、ペニャ大統領を含め他の官僚と比べ、不適切な発言件数が減っており、必要な時に国民が欲する発言をするようかなり研究をしている様子が伺われる。去年9月のメキシコでの大地震時も、他の政治家が不要な発言や行動を起こして人気を下げる中、ほとんど発言せず、人気を上げていた。
AMLOが当選すれば、1980年代から続いていた外資誘致方針が変更になり、トランプ大統領の”America First”ならぬ、”Mexico First”になり兼ねない。しかしながら、憲法および関連法で外資の保護がされているため、これらを変更し、雇用の創出に影響を与える外資を排除する行為を行うことは現実味が帯びない。またその他のインパクトのある対策案についても、メキシコは「最初に法ありき」のため、法律を変更することが難しく、実際には机上の空論と言え、あまりリスクはないと考えられる。