コラム「ウーパールーパー絶滅の危機」


キシコオオサンショウウオ(通称ウーパールーパー: スペイン語ではAjolote)が絶滅の危機に陥っているため、メキシコ唯一の生息地であるソチミルコのチナンパ(水草)を保護する動きがここ数年で起こっている。

アステカ人は水のモンスターまたはショロトル(ケツァルコアトルの双子の弟で、怪物・奇形を象徴する神)の生まれ変わりと思っていたそうだ。UNAMの復元生態学研究所内には数センチの130匹以上のウーパールーパーが研究と保護目的で専用の容器で飼育されている。

2025年から2030年には、ソチミルコのウーパールーパーは絶滅する可能性が高い。1998年にはソチミルコには1平方メートルあたりに6千匹いたが、2008年委は100匹になり、現在では35匹未満と大減少した。

主な原因は3つある。大都市化によるストレス、水質の悪化、コイやティラピアなどの外来種に拠る影響である。

水槽で生きているから絶滅はしないという人もいるがそれは間違いである。絶滅種を保護するための生態環境まで復元しなければ、絶滅の危機を乗り越えたとはいえないと、研究所の研究員であるLuis Zambrano博士は言う。

ホッキョクグマのことを考えてほしい。冷所でホッキョクグマを保護したが、北極には1匹もいなくなったとしたら、ホッキョクグマの種は絶滅したということになるだろう。

そこで企画されたのが、「チナンパの保護」である。このプロジェクトは壮大で、初期段階だけで750万ペソ(約40万ドル)かかる。2千年前から続くソチミルコのチナンパ文化を救済することが目的であり、チナンパの再生に費やす部分は湖の20%未満しかなく、目標はこの部分を増やすことである。このことにより水路の状態と生態系を改善する、つまりウーパールーパーの生息地が広がり、生活の質も改善されるということになる。

ウーパールーパーは伝統医薬に利用され、伝統料理の一つでもある。従って、ウーパールーパーを失うということは、メキシコ人のアイデンティティの一部を失うということでもあるとZambrano博士は憂う。

生息地であるソチミルコの湖自体も消滅の危機にある。もしソチミルコの湖が消滅すれば、メキシコシティの平均温度は2度上昇し、大雨による洪水の可能性が増加する。二酸化炭素の発生や気候変動の問題も増えるだろう。環境問題の被害により、メキシコシティでの生活品質は間違いなく落ちる。

メキシコでは人道的な被害に関する寄付活動はよく行われているが、自然保護に関する寄付を募る活動は、他国に比べてかなり遅れていると思う。主体となって寄付活動を行うのがUNESCO等の国際団体に頼っている感も拭えないが、徐々に自国で、自然保護に関する活動が増えていくことを期待している。

…そんなソチミルコでは今年の7月、日墨合同の交流イベント「第一回Xochimatsuri(ソチ祭り)」が開催された。中でも目玉の「La hora de la limpieza(掃除の時間)」では、両国一般の方々が参加。自らの手を汚しながら大掃除を行っており、これを毎年開催し続けることで、自然保護の意識も芽生え、根付いていくものと期待されている。

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