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コラム「メキシコ大統領の年金について」


予想通りAndrés Manual López Obrador(通称AMLO)候補者が圧倒的勝利をし、上院下院共に過半数を超える議席を獲得したMORENA、社会集会党、労働党の連合政党”Juntos Haremos Historia(一緒に歴史をつくろう)”。就任日である12月1日以降どのようにメキシコが変革していくのか、米国トランプ大統領とは異る怖さを感じる。

今日は、そんな定年退職者となった後の元大統領の年金についてお話ししたい。法的根拠は全くないにもかかわらず、大統領だけでなく公務員の多くに対する終身年金は未制限である。毎月205,000ペソ(約10,250米ドル。メキシコの州知事の平均月収額)が支給されるが、それは氷山の一角であり、実際には本人およびその家族を含む軍の護衛、電話代、車両台、私立病院の医療費、生命保険、オフィス経費、庭師代金、等この他多くの手当てが支払われる。さらに本人の死後も家族はこれらの優遇を享受し続けることができる。これらの保障はあまりその他の国では見られない程の厚待遇である。

正式な数値は公表されていないが、公式情報や学術調査によると、生存する元大統領5名は人件費、車両台、オフィス経費を含め、各自毎月約5百万ペソ(約25万米ドル)、年間4千万ペソ(2百万米ドル)ほど消費している。

ちなみに大統領就任中の給与はというと、2017年のペニャ・ニエト大統領の場合、福利厚生(税込み)で年間約346万ペソ(約173,000米ドル)、月額にすると約288千ペソ(約14,400米ドル)。米国大統領は年間40万ドルで、年金額は半額なので、メキシコ大統領は、在任中は米国に全く及ばない報酬をもらっているが、年金額は米国大統領よりも多い金額となっている。

日本の安倍首相は月約205万円(約18,500米ドル)、手当や厚生年金を含めると年間約4千万円(約361,000米ドル)をもらっていると言われているが、首相はあくまで内閣総理大臣、つまり大臣職のため、厚生年金の加給や公務員共済年金の対象とはならないため、特別に年金が増えることは無い。また国会議員の議員年金が適用され、議員に10年間以上在籍していることが要件となり、さらに65歳から支給開始となるため、他国の大統領とは異なり、元首相と言っても悠々自適に任期後過ごせるわけではないようだ。

長々と書いてしまったが、このメキシコ元大統領の年金をAMLOは廃止することを公約として掲げていたこともあり、年金システム改定のための財務審議会創設案を提出した。これに対しFOX元大統領などは批判の声を挙げていたのだが、先日FOX大統領はAMLO当選のニュースを見た後、年金廃止を受け入れるとTwitterで発言した。新大統領就任を前にすでに動き始めたメキシコ。日々目が離せない状況だ。


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